
高配当株のオリックスの決算発表は、注目している人は多いことでしょう。
今期も高配当が維持されるかが、一番注目されるところです。
11月2日に発表されたオリックスの決算発表のポイントは以下のとおり。
- 2021年3月期の通期最終益見通しが1,900億円と発表
(1株利益は152.3円) - 配当は76円を維持できる見込み
(今期に限り配当性向を50%とする旨を第1四半期決算で発表済み) - 自社株買いの発表
(思ってもいなかったポジティブサプライズ)
この3点を中心にオリックスの第2四半期決算を見ていきましょう。
目次
①2021年3月期の通期最終益見通しが1,900億円と発表
第2四半期決算発表で通期見通しが出ました。
1,900億円の最終利益見込みで、1株当たりに直すと152.3円になります。
この数字は前期の上期約3,000億円の利益があったことから、大幅なマイナスとなります。
しかし、反応は後述の自社株買いも相まって、株価は上昇しております。
「こんな悪い数字でなぜ上昇?」
と初心者は思うことでしょう。
理由としては、このレベルの決算内容はとっくに市場で予想されていたため、ネガティブサプライズではないからです。
コロナの影響が一番出ていた春先には株価に織り込んでしまっていたため、今回さらに株価が下落することはなかったのです。
②配当は76円を維持できる見込み

通期の配当予想も発表されました。
減配なく76円の配当は前期より維持される見込みです。
前回、第1四半期決算で
「今期に限り配当性向を50%とする」
と発表されていたため、そのとおりとなった格好です。
しかし、今後コロナの影響が最熱した場合、予想を下回る数字で着地する可能性があります。
その場合は配当金も下方修正となり、減配される可能性があることは、頭に入れておきましょう。
③自社株買いの発表

この発表が一番のサプライズだったのではないでしょうか?
そのため、上述のとおり株価は上昇に転じたと言えます。
それではまず、分からない人のために自社株買いを簡単に説明いたします。
自社株買いとは、市場に出回っている株を発行した企業が買い戻す行為です。
買い戻した株は、基本的に償却されます。
分かりやすく株がもし昔のように紙でできていたら、買い戻してきたものを破り捨てたり燃やしたりするイメージです。
では、企業はなぜこんなことをするのかというと、この自社株買いという行為が株主還元になるからです。
買い戻した株を破り捨てても、企業自体の価値に変わりはありません。
しかし、市場に出回っている株の総数は破り捨てた分少なくなります。
すると分母が減るため、1株当たりの価値が上がるのです。
株価が上昇するため、結果株主の利益となるのです。
尚、今回自社株買いされる株の総数は、全体の約4%に上ります。
これは非常に多く、通常は総発行数の1%以下になります。
最近ではKDDIが3%程自社株買いをしましたが、それをも上回る割合です。
配当維持とあわせて、株主還元の意思を感じる決算発表となりました。
終わりに
オリックスの今期見通しは非常に悪いです。
前期より37.2%もの減益となる見込みなのだから当然です。
しかし、この結果はコロナウイルスが春先に猛威を振るった時点で、すでに株価へ織り込まれました。
今後、余程コロナの影響が大きくなるか、現時点で予測できないネガティブニュースでもない限り、株価はそれ程下がらないでしょう。
また今回の決算発表は、収益より高配当を維持できるかがポイントでした。
結果は現状維持で、さらにおまけで自社株買いまでついてきました。
オリックスの株主還元の意思は強く感じられるため、引き続き買い推奨銘柄としておすすめいたします。
ただし、業績が悪いことに変わりないため、あまり多くの資金をつぎ込まないように気をつけましょう。
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