
2020年9月10日、すかいらーくホールディングスより「株主優待制度の変更に関するお知らせ」が公表されました。
内容を簡潔にお伝えすると、株主優待の改悪です。
結論として、今回の優待内容の変更により、現在の株価では全くうまみのない銘柄となってしまいました。
株主優待銘柄として人気のあった「すかいらーくホールディングス」ですが、この発表を受けての今後の投資判断を解説していきます。
目次
すかいらーくの株主優待改悪を受けた今後の投資判断は?

今回の優待内容変更の発表を受け、保有者は継続保有するか否か、これから購入を検討されている方は、今買うべきか迷っているかと存じます。
そこで、以下の投資判断を下しました。
- 現在保有中の方 → 100株だけ保有し続けるかすべて売却
- これから購入予定の方 → 見送り
この理由を以下解説していきます。
すかいらーく株主優待改悪内容の詳細は?

まず、これまでの株主優待内容を確認しましょう。
これまでの株主優待内容

上図は「すかいらーくホールディングス」が発表した資料より抜粋したこれまでの株主優待内容です。
100株で年2回3,000円ずつ、合計6,000円/年すかいらーくグループのお店で使える食事券が貰えました。
また、300株保有だと単純に100株6,000円に3を掛けた数字より、2,000円分多く貰えました。
そのため、優待利回りを最大にするには300株購入することが推奨されておりました。
変更後の株主優待内容
次に、同資料より変更後の株主優待内容を確認していきます。

上図のとおり、
・100株保有の場合 6,000円 → 4,000円
・300株保有の場合 20,000円 → 10,000円
と貰える金額が少なくなりました。
さらに、300株保有の優位性が全くなくなってしまった(むしろ利回り低下)ため、最高の優待利回りは100株保有に変更となりました。
300株保有者にとって今回の改悪は、大きな打撃となってしまいました。
すかいらーくの現在の優待利回りは?

数年前まで、すかいらーくは株主優待プラスそこそこ(2%程度)の配当も出しておりました。
そのため、株価2,000円くらいでも「配当+株主優待」で4%以上になりました。
ところが、2019年に以下のとおり減配しました。
38円/株 → 19円/株
さらに今期は株主優待改悪され業績も赤字転落の見込みのため、配当金の方はおそらく無配となってしまうでしょう。
以上から、今期期待できるインカムゲイン(企業から株を所有しているだけでもらえる金額)は、株主優待の4,000円しか見込みがありません。
購入(株主優待がもらえる)は100株からとなるため、1株当たり40円の株主優待がつくこととなります。
すると、優待利回りを4%以上にするには、以下の計算式となります。
40円 ÷ 0.04(4%) = 1,000円
現在、株主優待改悪発表からかなり下げているものの、まだ1,500円前後です。
1,000円以下まで下がらないとうまみのない銘柄となってしまったため、これから購入していくのは控えるべきです。
すかいらーくの株主優待改悪の背景

今回の株主優待改悪理由は、以下のように公表されております。
当社では、毎年6月末と 12 月末の基準日に株主名簿に記載された株主様に対し、すかいらーくグループの様々なブランドでのお食事をお楽しみいただき、当社への理解をさらに深めていただくことを目的として株主優待制度を導入しております。
すかいらーくホールディングス 「株主優待制度の変更に関するお知らせ」より
しかしながら、このたびの新型コロナウィルスの影響により不透明な経営環境が続く中、当社では持続的成長の追求を優先事項ととらえ、収益構造改革の一環として株主優待制度のあり方を慎重に検討した結果、株主優待制度を変更した上で継続させていただくことといたしました。
当社は、『すべてはお客様の笑顔のために』をモットーに、ご来店いただくすべてのお客様に、おいしいお料理と気持ちの良いサービスを清潔で居心地の良い店舗でお楽しみ頂きたいと考えております。今後ともお客様にご満足いただけるよう、持続的成長と企業価値の向上に努めてまいりますの
で、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
要約すると、
「コロナの影響で収益が落ち、先行不透明になったため」
といったありきたりな内容です。
一方で上図の業績をみると、4~6月で少しコロナの影響が落ち着いてきたにもかかわらず、200億円近い赤字となっております。
そのため、今回の株主優待改悪は止む無しと捉えることが妥当です。
株主優待自体を廃止してもいいレベルの数字ですが、株主優待をなくすと益々来客数が減る恐れがあります。
このバランスを考えた結果が、今回の株主優待内容変更に至った経緯と推測できます。
終わりに
残念ながら今回の株主優待改悪を受けて、すかいらーくホールディングスはしばらく株主優待おすすめ銘柄から外れる見込みです。
同じ外食のマクドナルド(以下マック)が業績好調なのに、すかいらーくが赤字転落した理由は、やはりテイクアウトにあると思われます。
マックの場合、店内で飲食することができますが、テイクアウトする文化が以前より根付いておりました。
そのためコロナが猛威を振るう中、店内飲食を禁止にしても売上は落ちませんでした。
この差が「マック」と「すかいらーく」の業績に大きな影響が出たと考えられます。
現状業績が劇的に回復する可能性も低いため、これ以上株価が下がったとしても、安易に買いにいかないようにしましょう。