
2月9日、JTの2020年12月期末決算が発表されました。
同時に2021年12月期の見通しも発表されましたが、大変厳しい数字に。
その中でもやはりインパクトが強かったのが、ついに減配に踏み切ったことです。
早速翌2月10日は朝から売られ、少し上昇基調だった株価は、再び2,000円を割れてきました。
と、ここまでは悲観的になる情報満載ですが、現時点で保有中のJT株を即売却したり、推奨対象から即外すことはありません。
本記事では、2021年12月期の見通しの確認した上で、JTに対する投資スタンスは現状変更なしとする理由を解説していきます。
JTの業績を確認
主要な項目を以下のとおり抜粋し、前期と今期を比較します。
- 売上 20,925億円 → 20,800億円(-0.6%)
- 営業利益 4,690億円 → 3,630億円(-22.6%)
- 最終益 3,102億円 → 2,400億円(-22.6%)
- EPS 174.9円 → 135.3円(-22.6%)
- 1株配当 154円 → 130円(24円減配)
- 配当性向 96%
やはり一番目を引くのが、1株配当です。
これまでも「無茶な配当出しているなぁ・・・」と感じていた方は少なくないかと存じますが、ついにこの時がきてしまいました。
配当維持だとEPS(1株利益)以上のタコ配となってしまうため、減配止む無しといったところでしょうか。
それでも配当性向は96%と非常に高いため、来期以降さらに利益が落ちることがあると、さらなる減配も予想されます。
予想以上にタバコの収益が悪くなっているようで、今後も世界的な脱タバコの流れは変えられないことでしょう。
ただ、すべての数字の源泉である売上は、なんとか横這いを維持しております。
今後も高配当株としての地位を守れるかどうかは、いかに人件費等の支出(販管費)を抑えていくかが鍵となりそうです。
JTの財務状況
フリーキャッシュフローは大きくプラスです。
本来はここがプラスなら何も問題ありません。
今回注目すべきは、投資キャッシュフローです。
ここは本来マイナスになっていなければなりません。
ところが、今回は不動産の売却が理由で、投資キャッシュフローがプラスとなってしまいました。
目先の現金は増えましたが、投資用不動産の売却で今後賃料収入が見込めないこととなります。
本業の利益ではありませんが、最終益に影響してくるため、やや不安材料となります。
1,000人規模の希望退職者を募集
2月9日のネット記事でも確認できるように、1,000人規模の希望退職者を募集することとなりました。
同時に福岡県にある2工場、香川県にある冷凍食品を取り扱う子会社「テーブルマーク」の3工場を閉鎖することも発表されております。
前述のとおり、年々利益が落ちておりますが、売上はなんとか維持しています。
人員削減や工場閉鎖は暗いニュースではありますが、断行することで経費削減となります。
すでに2021年12月期の見通しに織り込み済みかと存じますが、経費削減で利益率アップが期待できれば、引き続き高配当株の地位を維持できます。
今後の戦略は一旦ホールドで様子見
以上を受けた私の個人的戦略ですが、基本以下の理由で今期はホールドします。
- 購入単価でまだ配当利回り4%以上ある
- 売上は現状維持している
- 以前として財務状況は健全
購入単価でまだ配当利回り4%以上ある
減配したとはいえ、配当利回りは依然として高いです。
もちろん来期以降さらなる減配があるようなら、その時は撤退するしかありません。
しかし、現時点ではまだ納得いく配当金が得られる見込みのため、即売却するのは時期尚早と言えるでしょう。
売上は現状維持している
前述のとおり売上はほぼ現状維持しているため、支出さえ減らすことができれば利益率が上がります。
そもそも、2021年12月期見通しでも営業利益率は17.45%と二桁以上あり、稼ぐ力はまだあります。
1,000人規模の人員削減や工場の閉鎖で、どこまで販管費を抑えられるか今後注目していきましょう。
以前として財務状況は健全
前述のとおり、フリーキャッシュフローは大幅にプラス。
自己資本比率も46.9%と最低限の40%はクリアしております。
企業の貯金である剰余金も2兆円を超え潤沢にあり、倒産リスクや急に無配に転落するようなリスクは極めて低いと考えられます。
戦略はあくまでホールド。ナンピン買いやこれから新規購入は控えた方が無難
私の今回の決算に対する結論は、すでに保有しているならホールドです。
もし保有していないでこれから買いたい、株価が下がったからナンピン買い(買い増し)をしたいと考えているのなら、正直おすすめしません。
JTより好財務・好決算でかつ高配当な銘柄はいくつもあります。
NTTやKDDIといった通信株、伊藤忠商事や三菱商事といった総合商社株を優先して買うべきです。
さらなる減配リスクがある状況ですから、最優先でJTを選ぶ必要はないかと存じます。
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終わりに
JTの今回の決算発表は、減配というネガティブサプライズでした。
しかし、現時点ではまだ高配当を維持されており、即売却するところまで至っておりません。
とりあえず1年様子をみて、3ヶ月毎の決算は注視していきましょう。
業績の下方修正や来期の見通しがさらに悪化し、さらなる減配があれば即撤退です。
そのため、高配当株投資における推奨銘柄としての地位は維持するものの、新規購入やナンピン買いは止めるべきです。
一旦JTの購入は中止し、通信・総合商社・メガバンクといった他の高配当銘柄を積立てていくことをおすすめします。
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