2020年5月18日ソフトバンクグループ大赤字の決算発表翌日、蓋を開ければ朝から2%を超える上昇。
前日のアメリカが900ドル以上上がった事実はあるものの、この決算内容で上がるところをみると、やはり売買差益を狙う投資は非常に難しく感じます。
(その後、最終的に引けで2%以上下落しましたが)
本記事では配当金や株主優待を受け取ることをメインとする投資手法を推奨しております。
高配当・優秀な優待銘柄はいくつもありますが、その中で買っていいか否かがよく争点になる銘柄がJTです。
結論から言うと、100~200株くらいなら買ってよいと考えております。
実際私も所有しているため、所有している経験から感じたメリットおよびデメリットを解説していきます。
JTは高配当で株主優待も優秀。でも全力買いできないメリット・デメリットとは?
メリット
- 単純に高配当。株主優待もレトルトごはんなど食費を浮かせられるため優秀
- 日本で唯一タバコ製造ができるため、国内に競合がいない
- 日本政府が3分の1以上持っており、倒産リスクは低い
- 結局喫煙者は一定数いて、タバコが将来なくなる可能性は低い
デメリット
- 配当性向が異常に高く、減配の恐れあり
- 株価は下がりっぱなしで、値上がり益は当分狙えない
- 日本政府がJT株を手放したときは危険
メリット
JTの主なメリットは、高配当でかつ誰でも使える株主優待があること。
その他にも、「国内に競合がない」「政府が3分の1持っている」「たばこがなくなる可能性は低い」ことが挙げられます。
単純に高配当。株主優待もレトルトごはんなど食費を浮かせられるため優秀
2020年12月期、これまで続いていた増配はなかったものの、1株当たり154円を維持。
現在の株価は2,000円前後なので、利回りは7.7%もあります。
これに加え100株で2,500円、200株で4,500円相当の株主優待も受けられるため、100株所有の場合で「配当+優待」利回りは9%くらいと非常に高いです。
優待内容もレトルトごはんやカップ麺など、食費の節約や非常食に使えて有益です。
また、ここ2年は喫煙者にはうれしいプルームテックをお試しでもらえました。
このように、JTは株主還元のため非常に力を入れております。
一方、下図の決算状況をみてみると、売上はそれ程変わりませんが、最終利益は減少傾向にあります。
しかし、多くの企業がコロナウイルスにより数十%の減益や赤字転落している中で、大きく下落しておらずかつ現時点では来期の配当維持と3,000億円程度の最終利益が出る見込みとなっております。
この予想に近い利益になるようなら仮に減配があったとしても、高配当株として魅力がなくなるレベルまで下がる可能性は低いと考えられます。
日本で唯一タバコ製造ができるため、国内に競合がいない 財務状況も健全
ウィキペディアにも記載されておりますが、国内でタバコ製造が認められているのはJTだけです。
もちろんフィリップモリスのIQOSなど海外タバコが国内で売られているため市場は独占できませんが、日本国内では業界ナンバーワンの企業でありオンリーワンの企業でもあります。
身近に敵がいないのは、大きな強みです。
また、下図のとおり財務状況をみても分かるとおり、悪いところはほとんどありません。
売上に対する営業利益率は平均20%以上と非常に高いです。
自己資本比率は50%弱、剰余金も2兆7,000億円もあることから、これから本格的に不況に突入しても耐えられる体力はありそうです。
日本政府が3分の1以上持っており、倒産リスクは低い
JT法により、JT株式の3分の1以上を日本政府(財務大臣)は持つ必要があります。
そのため、JTは完全な民間企業ではなく、半分役所のようなものです。
もしJTの業績が悪くなったら筆頭株主の日本政府が介入するのは当然で、倒産リスクは極めて低いと考えられます。
結局喫煙者は一定数いて、タバコが将来なくなる可能性は低い
喫煙者の減少と健康志向は、JTにとって逆風です。
しかし、どれだけ値上げしても、どれだけ喫煙できる場所を減らしても、まだまだ喫煙する人は多くいます。
将来的に1箱1,000円以上になったとしても、それ程喫煙者が減ることはないと思われます。
喫煙者の多くは節約と無縁の生活を送る人が多いため、仮に収入が減ってしまっても我慢するのは食費など別の何かで、タバコに使う費用はそれ程変わらないのではないでしょうか。
また、タバコを法律で禁止にした場合、それによって起こる弊害が上回ることが予想されます。
タバコは禁止になった時点で違法薬物となってしまうため、密売が横行したり他の違法薬物に流れたりして、治安が乱れる恐れがあります。
以上から、近い将来タバコがなくなることはまずないのではと考えられます。
デメリット
配当性向が異常に高く、減配の恐れあり
下図のとおり2020年12月期は、1株当たり利益171.9円予想に対して1株あたり154円の配当を維持する予定です。
これは利益の9割を配当金として株主へ支払うことを意味します。
株主優待も含めれば利益のすべてを株主還元に充てることとなり、明らかに配当を支払いすぎております。
配当性向(利益の何%を配当として支払うか)は40%、多くても50%以内が健全です。
それをはるかに超える配当性向のため、もし途中で業績の下方修正が入った場合、減配されるリスクが非常に高いです。
株価は下がりっぱなしで、値上がり益は当分狙えない
下図をご覧いただければ分かるとおり、このところずっと右肩下がりです。
この原因は、世界的にESG投資の流れとなっており、環境に悪い企業には投資しないという背景があります。
特に海外ではタバコ自体が禁止されている国も存在しております。
かつてはF1カーの多くにマールボロ(フェラーリ)やウエスト(マクラーレン)、マイルドセブン(ルノー)などの広告が入っておりました。
ところが、タバコ広告禁止の国が欧州中心に増えていき、2003年のF1ベルギーグランプリは法律でタバコ広告禁止が施行され開催されませんでした。
タバコ事業が本業である限りJTはこの流れに逆らえず、今後株価が上昇して値上がり益を狙うのは難しいです。
日本政府がJT株を手放したときは危険
コロナウイルスが深刻化する中、下記のような記事がありました。
新型コロナ感染症:日本政府は「JT株」売却益「1兆3000億円」を支援に充てよ
この記事を要約すると、「日本政府が保有するJT株を売却することで得た1兆円を超える金額を、コロナウイルスの影響で営業できなくなった事業者の補償などに充てよう」という内容です。
記事にもあるとおり、毎年700億~1000億円という莫大な配当金を得られること、財務省や国会議員などとの複雑な関係があるから、すぐに売却される可能性は低いでしょう。
しかし、今後政府が記事にあるように財源確保のため完全民営化に踏み切った場合、株価にどのような影響を及ぼすのか、予想するのは難しいです。
日本政府による影響力は少なくなると予想されるため、もし2019年のかんぽ生命のような不祥事が起こると、株価下落や減配などのリスクは高くなるでしょう。
まとめ
- 高配当・優良な株主優待であることから、保有しても問題ない
- 国内でタバコ製造できるのはJTのみ。日本政府が3分の1保有していることから、倒産リスクは低い
- 配当性向が高すぎるため、減配リスクあり
- 世界的なESG投資による逆風。値上がりはあまり望めない
- 日本政府が手放したときは危険
このように、JTにはメリット・デメリットがそれぞれ存在します。
そのため、「買っていい株」か「買ってはいけない株」か判断するのが難しいです。
リスクは付きまとうものの現状のまま日本政府が3分の1所持している状況が続けば、配当利回りも株主優待内容も優良であることから、少量なら購入して問題ないと結論づけます。
また、配当性向が高すぎますが、利益を現状くらい上げ続けることができれば、たとえ配当を半分にされてもまだまだ高配当株です。
そこそこデメリットもあるため超オススメ株と太鼓判を押すことはできませんが、余裕資金の10%以内で買えるようなら、100~200株は買ってみてはいかがでしょうか。
おまけ 今年の株主優待が届きました(200株 4,500円相当)
白いごはんが28食分届きました!
これで1ヶ月くらい、白いご飯に困ることがないですね♪
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松井証券 SBI証券株主優待銘柄狙いの基礎知識は、以下の記事を参照下さい。