
財閥系ながら、最近めっきりどの業界でもトップを取れなくなった三菱グループ。
三菱商事は伊藤忠商事の後塵を拝し、三菱自動車は大赤字でもう何番手の位置にいるかも分かりません。
しかし金融業界に至っては、今年はトップへ返り咲けそうです。
前期は下期の赤字が響き三井住友FGに最終益で敗れたものの、今期はトップで折り返しです。
それでは、11月13日に発表された三菱UFJFGの決算を確認していきます。
ポイントは以下のとおりです。
- 3ヶ月ごとの前年同期比では-0.2%まで回復
- 配当利回りは5.61%と高水準。期末配当も現状維持される見込み
- 前期は下期が赤字であったため、この調子なら最終プラスも射程圏内
- ライバルは三井住友・みずほよりネット銀行か?
目次
3ヶ月ごとの前年同期比では-0.2%まで回復
三菱UFJFGの第2四半期累計は、前年同期比売上が-12.3%、最終益が-34.0%となりました。
ご覧のとおり通常なら大変な数字ですが、コロナ過で悪いことは織り込み済みのため株価は下落しません。
逆に3ヶ月ごとの決算で見ると、前年同期比で-0.2%とほぼ前年並みに回復しています。
この事実は、7~9月にかけてコロナの影響はほぼなかったと言えるでしょう。
すでに4,000億円の利益を積み上げていることから、今期は大崩れする可能性は低くなりました。
よって、予定通りの高配当は維持できる見込みです。
配当利回りは5.61%と高水準。期末配当も現状維持される見込み

11月13日時点の株価で、配当利回りは5.61%となっております。
利回りが高すぎますが、この利回りが健全か否かは、配当性向より導き出されます。
現時点で通期予想が出ていないため正確な数字が出せませんが、現在4,000億円まで利益が積みあがっております。
このところ下期が悪いため、少なく見積もって5,000~6,000億円の最終益と仮定すると、概ね1株益は40円台くらいになります。
50円に乗れば1株配当が25円のため、配当性向は50%となり比較的健全な数字です。
最終益を少なく見積もっても配当性向60%くらいでは落ち着きそうなので、高配当維持はほぼ問題ないと言えるでしょう。
前期は下期が赤字であったため、この調子なら最終プラスも射程圏内
前述のとおり、前期は下期の赤字が響いてトップから陥落しました。
その前の年も赤字ではなかったものの、第4四半期は4.5億円程度しか利益が出ていないため、下期は利益が落ちる傾向です。
しかし、あと1,200億円程で前期の数字に並びます。
後半をうまく乗り切れば前年比プラスで終わる可能性があり、株価押上げの要因となるでしょう。
ライバルは三井住友・みずほよりネット銀行か?

メガバンクというと、三菱UFJFGの他は三井住友FGおよびみずほFGになります。
ライバルは本来この2社となります。
しかし、現実問題として真のライバルはネット銀行勢で、理由は2つあります。
理由その① 預金に対する金利
ネット銀行は店舗を持たないため、実店舗のあるメガバンクより経費が少なく済みます。
そのため、金利をやや高く設定することができるのです。
実際私もあおぞら銀行に口座開設し、資金の多くを移動させております。
金利0.001%で置いておくより、0.2%のところへ置いた方が200倍お得です。
もちろん寝て暮らせる程の利率ではありませんが、これだけで数日分の食費は稼げます。
理由その② 使い勝手の良さ
住信SBIネット銀行や楽天銀行は、それぞれSBI証券および楽天証券と連動しております。
そのため、資金をわざわざ証券口座に入金せずとも株式などの金融商品を購入できます。
さらにSBI証券はTポイント、楽天銀行は楽天ポイントがつくなどメガバンクよりも付加価値が高いです。
尚、私の利用するあおぞら銀行は、キャッシュカードに付属しているVISAデビットで買い物すると、半年ごとにキャッシュバックがあり最大1%現金還元されます。
デビットだとすぐに預金が減るので、クレジットより自分の純資産が分かりやすいため、個人的に重宝しております。
以上のことを考えると、もはやメガバンクに資金を預けておくメリットはありません。
現時点では大手信者が多数のため健在ですが、今後10年20年先はネット銀行が当たり前の時代になるリスクは考慮すべきです。
終わりに
三菱UFJFGの第2四半期決算を見る限り、今期の配当は維持できる見込みです。
コロナで苦戦は強いられたものの、まだ数千億円の利益を出せるのですから、優良な高配当株としておすすめできます。
しかし、将来性を考えると預金についてはネット銀行の台頭、融資についてはクラウドファンディングと既存の銀行業自体の存在意義が低下しています。
過信して資金をつぎ込みすぎると将来痛い目を見る可能性があるため、分散投資の一部に留めておくことが重要です。
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