2020年も第2四半期決算が大方出揃いましたが、コロナの影響で明暗分かれることとなりました。
本記事では、暗の部分「おすすめできない高配当銘柄」を紹介していきます。
購入するかは個人の判断となりますが、ここで紹介している銘柄・紹介している銘柄と同じような銘柄は、購入しないことをおすすめします。
高配当だがおすすめできない日本株銘柄5選とその理由とは?
今回紹介するあまりおすすめできない銘柄は、以下の5社です。
- ソフトバンク
- 三菱商事
- 武田薬品工業
- ENEOS HD
- コニカミノルタ
①ソフトバンク
誰もが知っている携帯大手3社の一角。
業績は問題ないため一見買っても良い銘柄に思えますが、如何せん配当性向が高すぎます。
今期見通しは1株当たり102.8円となりますが、1株配当が86円もあるため配当性向は83.6%と激高。
親のソフトバンクグループが配当金で利益を吸い上げるためと言われておりますが、鵜呑みにはできません。
また、政府の携帯料金値下げ圧力もあり、あまり突っ込んで買うと痛い目を見るかもしれません。
通信業界はどこも安定経営で高配当であることから、わざわざ3番手のソフトバンクを買うくらいなら、KDDIかNTTを買うのが無難です。
②三菱商事
大手5大総合商社の一角。
数年前までは業界トップの企業でした。
しかし、5年前のチャイナショックで2016年3月期は初の赤字を記録。
今期もコロナの影響を受けて、前年比60%を超える減益見込みです。
それなのに増配するというのだから、配当性向は脅威の98.8%。
今期の配当予想は覆される可能性が大いにあることから、あまりおすすめできない企業となってしまいました。
尚、業界首位に躍り出た伊藤忠商事が通期10%程度の減益で済む見込みのことから、買うならこちらを推奨します。
個別記事はこちら>>>【三菱商事】超大手で高配当だが、推奨できない理由とは?
③武田薬品工業
ここからは、前出の2社よりリスクがさらに上がります。
武田薬品工業は医薬品大手で、CMでも見かけるため知らない人は少ないでしょう。
利益はそこそこで、今期は前期の2.8倍になる見込みです。
しかし、それはあくまで前期が悪くて発射台が低かっただけ。
1株当たりの利益にすると79.3円しかありません。
それなのに、毎年180円もの1株配当を出し続けており、直近では2018年3月期を除き利益以上の配当を出しております。
「会計上の理由で決算数字が悪いだけ」と健全であることをアピールしている当社ですが、あまり信用しない方が良いです。
尚、医薬品業界は他に目ぼしい高配当株がないため、どうしてもこの業種へ投資したいのなら、アメリカのファイザーが候補に挙がります。
最近はコロナウイルスのワクチン開発で度々ニュースでも取り上げられ、日本でも有名になりつつあります。
配当利回りは4%くらいで、武田薬品工業のようにタコ配(利益より多く配当を出していること)ではありません。
上述のとおりコロナ特需で値上がりも期待できることから、こちらの企業を代替案とします。
※アメリカ株で利益を得た場合、先に10%の税金がかかるため、さらにそこから日本で20%税金が持っていかれます。そのため、概ね72%くらいの手取りとなってしまいます。(確定申告である程度取り戻すことは可能です)
④ENEOS HD
石油元売りの最大手です。
ガソリンスタンドの名前でもあるため、多くの人が耳にしたことがある企業でしょう。
以前はJXTGホールディングスという会社名でした。
前期は1,800億円を超える大赤字でしたが、今期は900億円程度の黒字を見込みます。
しかし、健全な配当までは程遠く、1株当たり28円の利益に対し、1株配当は22円と配当性向78.5%はかなり高い数字です。
企業の貯金である剰余金がまだ1兆円程あるため配当はしばらく出せるかと思いますが、コロナの影響が長引くと来年・再来年には減配はあり得ます。
尚、同業で他に目ぼしい企業はありません。
そもそも、石油は今後他のエネルギーに取って代わられる可能性が高く、将来性がありません。
わざわざこの業種にまで分散投資する必要はないかと存じます。
⑤コニカミノルタ
特段高配当が有名な企業ではありませんでしたが、現状東証一部大手の配当利回り3%以上で検索すると一番上(最も利回りが高い)に表示されます。
そのため、間違って買う人がいないようにとの注意喚起を込めて取り上げさせていただきます。
この企業は複写機等の電気機器製造がメインとなりますが、やはりカメラやデジカメのあった時代が思い起こされます。(現在カメラ事業からは撤退)
正直、今は何をやっている企業か分からないといった人の方が多いのではないでしょうか?
2010年前後は駅伝が強く、元日のニューイヤー駅伝では上位の常連として覚えているといったところでしょうか。
では肝心の収益ですが、2期連続赤字で赤字幅も拡大が続いております。
それでも高配当は続き、11/20終値で配当利回りは8.16%もあります。
タコ配状態が2年続いており、業種的にもあまりV字回復するようなことはないように思われます。
今回取り上げた企業の中で最も減配リスクが高いため、安易に買わないようにしましょう。
リスクを避ける高配当株の選び方とは?
高配当だからという理由だけで株を購入すると、いつか減配・無配になるという痛い目を見ます。
これを完全に避ける方法は残念ながらありませんが、確率を低くする方法はあります。
①業績と配当性向を確認する
まず、配当金とは「利益から出す」と心得て下さい。
そのため、利益が出ていないのに配当金を出している企業は、いずれ減配することになります。
また、利益を出せていてもその多くを配当金の支払いに充てていたのでは、将来○○ショックが起きた際の不安材料となります。
必ず赤字でないことと、配当性向が高くても50~60%くらいに収まっているか確認しましょう。
②財務の健全性
フリーキャッシュフローと自己資本比率を確認しましょう。
株探などのサイトなら一目で分かりますが、記載がないようなら
「営業キャッシュフロー」-「投資キャッシュフロー」
で計算できます。
こちらは単純にプラスならOKです。
また、自己資本比率は40%以上が健全の目安です。
40%を下回ると借入が多く将来返済に苦慮する可能性がありますので、基本購入は控えましょう。
ただし、大手の総合商社や銀行、金融系(オリックスなどリース業)は、軒並み低い自己資本比率です。
例えば銀行は、我々一般人や法人のお金を預かっているため、当然これらは自己資本に当たりません。
預かっているお金を融資して金利を得ることを業としているため、低くなるのはやむを得ません。
これらの企業は、収益等の業績や企業の貯金である剰余金、時価総額など他の数字とあわせて総合的に判断しましょう。
③本業の将来性
いくら現在利益があっても、将来性のない業種を買うのは控えましょう。
例えば自動車業がこれに当たります。
今後買って所有するよりシェアすることが多くなる見込みのため、コロナに関係なく売上が伸びなくなる可能性が高いです。
反対に通信業界は将来性がまだまだあります。
現在政府の値下げ圧力がかかっているものの、スマートフォンは生活必需品としての地位を確立しました。
今後も安定した利益が見込めるため、高配当を維持できる可能性が高いと考えられます。
リスクは0にできない。多くの企業・国・業種へ分散を
投資をする限り100%はありません。
現在安定している企業といえど、将来安定していると断言できるところは1つもありません。
よって、我々にできることは、多くの企業に分散投資することです。
また、1つの業種に偏らせず、多くの業種に分散することも忘れてはなりません。
同業種に偏らせると、その業種自体が衰退したとき、すべてダメになってしまうからです。
さらに、国の分散も必要です。
日本はこれから人口が減ります。
人口が減った分、衣食住の需要が減るため、必然収益は落ちる運命です。
そのため、アメリカのような人口増加している国の株や投資信託にも分散投資をしましょう。
終わりに
「高配当」「大手」の2つの理由だけで株を購入してはいけません。
必ず、収益と財務状況を確認してから購入することを検討して下さい。
また、現在の業績が良くても、未来永劫続くとは限りません。
必ず可能な範囲で多くの企業へ分散し、減配リスクを減らすよう対策していきましょう。
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