
11月5日に発表された三菱商事の決算内容は、コロナの影響を差し引いて考えてもひどいものでした。
超大手企業で高配当だからという理由で所有している人は多いと思いますが、結論ここは推奨できません。
その理由を以下の3つの観点から、解説いたします。
- ライバルの伊藤忠商事と比較し、かなり見劣りする収益
- 2円増配だが、配当性向が高すぎて減配リスクがある
- 業績が悪い割に株価が高い
ライバルの伊藤忠商事と比較し、かなり見劣りする収益
2021年3月期の上期は前年比で売上が-25.8%、最終益は1,000億円割れの866億円で-64.2%となりました。
ライバルの伊藤忠商事が最終益を前年比-12.6%でまとめことを考えると、非常に悪い決算と言わざるを得ません。
しかも上期の利益は、万年3番手の三井物産と前期赤字の丸紅よりも低い数字です。
もはや2番手すら危うい状況のため、三菱商事を買うくらいなら伊藤忠商事を買うことを推奨します。
2円増配だが、配当性向が高すぎて減配リスクがある
三菱商事の最大メリットは高配当であること。
11月18日時点で、5.35%もの配当利回りがあります。
しかし、これを配当性向に当てはめると大変なことに。
1株利益が今期135.5円しか見込めないのに、1株134円の配当を出すと言うのです。
これは今期稼いだ利益を、ほぼすべて配当金の支払いに充てると言っているのと同義です。
もし、今期通期見通しが達成できなければ、個人でいう貯金の剰余金から支払わざるを得ません。
とりあえずは4兆円を超える貯金があるので、今期は大丈夫かもしれません。
しかし、前期赤字の丸紅同様に剰余金が潤沢にあっても、減配の可能性は残ります。
三菱商事は累進配当政策を取っておりますが、実際これを破棄して減配した企業は存在します。
そのため、減配が絶対ないと高を括って買うのはやめるべきです。
業績が悪い割に株価が高い
もし現在の株価が2,000円を割り込んでいるようなら、多少買ってもいいかなと考えます。
しかし、現在株価は2,500円前後で推移しております。
これは、世界的に株高であることと、少し前に投資の神様ウォーレン・バフェット氏が5大商社株を割安と考え買ったためです。
今期の配当予想が高すぎるため、2017年3月期の1株配当80円くらいまでは減配する可能性があることを警戒するべきです。
この場合、今の株価で買ってしまうと配当利回りは3.2%まで低下してしまいます。
減配を考慮すると、2,000円を割り込む(配当利回り4%)までは手出ししない方が得策です。
ただ、現在実態を伴っていない株価水準のため、ここまで落ちた頃には業績がもっと酷いことになっていることでしょう。
終わりに
三菱商事が総合商社トップであったのは事実ですが、すでに過去のことです。
現在は2番手もあやしい、苦しい立場に立たされております。
「高配当で超大手で倒産リスクは低い」というのがメリットですが、逆に言うとそれしかメリットがありません。
「高配当だから」だけで買うと痛い目を見ます。
業績や配当性向を確認して、高配当を長く続けられる企業かよく確認してから購入しましょう。
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