ドコモ口座の不正利用で世間の非難を浴びる「NTTドコモ」。
「NTTドコモの株を保有していて、株価が暴落しないか不安」
といった方は多いのではないでしょうか?
しかし、結論から言って今回の口座不正利用事件を皮切りに、どんどん株価が下がっていく可能性は低いです。
その理由を、以下のとおり解説していきます。
ドコモ口座不正利用問題もNTTドコモの株価への影響が少ない理由は?
まず、現時点で公表されている「NTTドコモ」の業績推移をみてみます。
上記のとおり、売上は約4.5兆円、利益は約6,000億円あります。
この数字を頭に入れた上で、今回の不正利用被害額を見ていきましょう。
9月11日時点での被害総額は1,900万円
今後被害総額は増えていく可能性は大いにありますが、現時点で発覚しているのは1,900万円です。
被害に遭われた方はお気の毒に思いますが、売上4.5兆円、利益6,000億円の企業が2,000万円程度の賠償で済むなら、何ら問題ありません。
2011年、1兆円以上の赤字を出した東京電力の時とは、現状全く事情が違っているのです。
この件だけで、
「賠償金に配当を充てるため無配」
といった最悪のシナリオは、今のところ考えづらいです。
自分が被害者にならない限り、他社へ切り替える人は限定的
この件を皮切りに、
「ドコモは危ないから他社へ乗り換える!」
という思考になる方どれだけいらっしゃるでしょうか?
おそらく、そう多くないでしょう。
なぜなら、元来自分が被害者とならない限り、不安がって変化を伴う行動を起こす人は非常に少ないからです。
そして、数カ月もすれば、
「そう言えば、そんな事件あったね」
くらいで、直接被害に遭われた方以外は忘れ去っていくことでしょう。
例えば、あれだけコロナ対策で政府に不満を抱いていた方々が、いざ安倍総理が辞任表明すると手のひら返し。
「この8年間を振り返ると、株価は上がったし、外交はよくやった」
と30%そこそこの支持率が60%まで回復するような国です。
NTTドコモも本業の方で問題がなければ、この件は乗り切れる可能性は高いでしょう。
以上を踏まえた投資戦略は・・・KDDIを買う!?
以上を踏まえると、NTTドコモ株保有者については、慌てて売ることはありません。
高配当で減配しにくい株であることに、現状変わりありません。
しかし、一方でこれから通信株の購入を考えている方には、NTTドコモよりKDDIを購入することをおすすめします。
NTTドコモよりKDDIがおすすめの理由とは?
上図はKDDIの2021年3月期第1四半期の実績です。
NTTドコモより増益幅が大きく、コロナ渦にもかかわらず前年同期比二桁の増益です。
ちなみに、NTTドコモは1.5%増です。
コロナ渦では増益なだけ立派だと思いますが、KDDIと比べるとどうしても見劣りしてしまいます。
KDDIはこれまでやや利回りが低かったのですが、ちょうど菅官房長官の発言で株価が下がり、配当利回りが久しぶりに4%くらいになりました。
また、NTTドコモにはない株主優待でカタログギフトももらえるところもポイントです。
以上から、これから購入する方には「KDDI」の方がおすすめできます。
わざわざ事件の震源地に足を踏み入れる必要はない
これは2011年、私がまだチャートも決算も見ないで、株を購入していたときの教訓です。
2011年の東京電力のことがあるまでは、不祥事を起こして暴落した株をひたすら拾っておりました。
その後下げ止まるまでナンピン(下がったら買い増しして、購入平均単価を下げる先鋒です)していき、戻ったら売るという戦略です。
この戦略で数年負けたことはなく、当然のように2011年は東京電力も1,000円を割ったあたりから購入しました。
結果は皆さんご存じのとおり、いまだに東京電力は無配の状況で、震災前の2,000円台は遥か彼方。
最終的に資金はなんとか持ち、3年程保有して売却し、十数万円程度の利益は出ました。
しかし、その間の精神的苦痛と何年も保有したのに配当は受け取れず、所持した年数の割に大した儲けはでませんでした。
振り返るとわざわざ暴落の震源地(この時は東電)にいく必要はありませんでした。
2011年3月11日はほとんどの株が暴落したので、黙って当時業績の良い企業の株を買っていればよかったのです。
しかし、当時の私はチャートも決算も見ずに取引していたため、もっと有利な企業があることに気づきもしませんでした。
結果的にアベノミクスに助けられたものの、この苦痛を機に不祥事等で暴落した株を購入する戦略を見直すこととなりました。
今回のドコモ口座の件は、おそらく大した賠償にはならないと思います
しかし、折角同業でもっと業績の良い企業があるのですから、万一を考えればKDDIを買いに行く方が無難です。
終わりに
おそらくドコモ口座による被害総額は、日に日に増えていくことでしょう。
しかし、本業で莫大な収益があることから、たとえ1億円を超える損害が発生しても倒産はおろか減益にもなりません。
取り急ぎは、すでに保有している方は慌てて売却する必要はありません。
とはいえ、現在世間から厳しい目が向けられているのも確かなこと。
絶対安泰とは決めつけず、NTTドコモ株保有者はこの事件のニュースを注視することが重要です。