本サイトで推奨する最良の投資手法は、インデックス投資です。
しかし、投資手法は様々ありますので、ここでは不動産投資について解説します。
不動産に投資する方法は主に2種類あり、現物の不動産を買うか不動産を扱う投資信託(REIT)を買うかのいずれかになります。
結論から言うと、投資信託(REIT)の方が圧倒的に有利です。
その理由を不動産業界に10年以上在籍している経験から、不動産投資の実情をお伝えいたします。
現物不動産投資がおすすめできない理由とは?
もくじ
- 他の投資に比べ初期費用がかかりすぎ
- 不動産広告の利回りは全く当てにならない 決まらない賃料で計算していることが多い
- 所持しているだけで、多くのリスクが付きまとう
- 思惑がはずれ売却するとき、希望価格で売れないし時間がかかる
- 確定申告や不動産業者とのやり取りなど手続きが面倒
- REITならほとんどのリスクが回避できる
他の投資に比べ初期費用がかかりすぎ
みずほ銀行でお馴染の「みずほフィナンシャルグループ」は株価が120円くらいです。
100株買うのに12,000円あれば投資することができます。
本サイト推奨のインデックス投資も、数千円あれば毎月積み立てることができます。
一方、不動産の現物を買うには、少なくとも数百万円用意しなければなりません。
立地や広さ、築年数など借り手がつきやすい物件を買うには、都内なら2,000万円でもそれ程いい物件は買えません。
投資の初心者にこれだけの金額を用意することは難しいでしょうし、余裕資金が2,000万円くらいあるなら、そもそも別の手段で資産運用するべきです。
不動産広告の利回りは全く当てにならない 決まらない賃料で計算していることが多い
よく広告で「利回り10%以上」など利回りの高さを売りにしていることがありますが、これ程当てにならないものはありません。
明らかに60,000円くらいしか賃料を取れない物件を、想定賃料70,000円くらいで利回りを算出しているケースが多いです。
また、利回りは満室時でコストのことを考えていない数字になりますし、物件が古くなって賃料が下がることも想定されておりません。
そのため、自分自身で適正賃料を算出し、税金や管理費などコストを差し引き、その上でお買い得な物件であるか判断しなければなりません。
初心者はもちろん、投資の上級者でも優良物件であるか判断するのは難しいでしょう。
所持しているだけで、多くのリスクが付きまとう
語ると切りがない程リスクがありますので、いくつかメジャーどころをピックアップして解説します。
入居者が決まらない空室リスク
賃料設定が高すぎたり、物件の質が悪い(リフォームされてない、立地が悪いなど)と、借り手がつきません。
当然、空室期間は賃料収入はゼロです。
決まらない場合は、賃料を落とすかリフォームして魅力的な物件にするしかなく、どちらにしろ利益を減らすことになります。
よく決まらないと不動産業者の営業力がないと批判されることがありますが、現代では個々の営業力などインターネットの力に比べれば微々たるもの。
インターネットに掲載しないなど広告を怠っているなら不動産業者の責任ですが、写真も動画も掲載して内見すらない物件は、そもそも借り手のニーズにマッチしていないのです。
この点を理解して適正賃料にすると意外と儲からないということに、この時初めて気づくこととなります。
入居中に設備が壊れるリスク
次は、入居中のトラブルです。
入居者が決まって賃料が入ってくるようになったのは良いことですが、入居してすぐエアコンが壊れました。
交換となると5~10万円かかり、折角得た賃料収入1ヶ月分を設備投資に回さなければなりません。
特に古い物件は設備が壊れやすくなっているため、部屋数が多いといろんなところで不具合が起こり、その都度業者手配と費用を支払わなければなりません。
反対に入居者は、自分に故意・過失がなければ、お金がかかることはありません。
また、2020年4月の民法改正でオーナーが設備故障の修理を怠ると、復旧まで使用できなかった程度と日数分を加味した賃料減額を、入居者は請求できることになりました。
急な出費が多いことは、不動産投資の大きなデメリットといえます。
入居者が家賃滞納するリスク(発展すると裁判になることも)
入居者が突然家賃を払わなくなることは、一般の人が思っている以上に多いです。
そのため入居審査を行うのですが、入り口で完璧に滞納者を締め出すのは不可能です。
そのため、最近は入居者に家賃保証会社へ加入してもらうことによって、賃料を滞納されるリスクを減らしています。
しかし、それでも家賃を滞納し続け、訴訟に発展することはそれなりにあります。
そうなると悪質な滞納者を退去させることはできても、それなりの時間と労力、費用がかかってしまいます。
賃借権は法的に所有権と変わらないくらい強い権利のため、たとえ入居者が悪質でもすぐに退去させたり、滞納金額をすぐに支払ってもらうことができないのです。
退去時の敷金トラブル 入居者に原状回復費用を踏み倒される恐れあり
退去時の原状回復工事(清掃や補修工事)は、入居者に故意・過失がなければオーナーが復旧費用を負担します。
※特約を付けることで、退去時の清掃費を入居者負担にすることは可能です。
逆の言い方をすると入居者に故意・過失があれば、その復旧費用を請求して構わないことになります。
しかし、すんなり払ってくれることもあれば、払ってくれないこともあります。
特に敷金を超える費用を請求する場合は、「最初からこうなってた」とごねる人が多いです。
このような場合、結局オーナー側が敷金内で収めるなど譲歩して終わらせることになります。
とにかく急に出費が発生したり、本来請求できる金額を受け取ることができなかったりと、不動産を所持することはリスクが多すぎるのです。
思惑がはずれ売却するとき、希望価格で売れないし時間がかかる
不動産は売りたくなって不動産業者へ頼んでも、すぐに売れるものではありません。
何千万もする買い物を即決する人が少ないことは、容易に想像できるでしょう。
また、買ったときより物件は間違いなく古くなっておりますので、売るときの価値は下がっております。
買ったときより高い金額で売れるのは都心の一部のみで、ほとんどは買い値を下回る金額でしか売ることができません。
確定申告や不動産業者とのやり取りなど手続きが面倒
手続きの面倒くささもデメリットのひとつです。
会社員だと確定申告の経験がなく、慣れるまで難しさや煩わしさを感じるでしょう。
また、不動産業者とのやり取りや手続きも面倒です。
入居の決まった契約書に署名・捺印するくらいなら問題ないですが、不動産を所持していると知らない業者から営業の電話があったり飛び込みで訪問されたりと、とにかく煩わしいです。
REITならほとんどのリスクが回避できる
不動産投資を現物からREITに置き換えると、ほとんどのデメリットがなくなります。
REITなら急な出費が出ることはありませんし、滞納リスクもありません。
いらなくなったら、株と同じようにすぐ売ることができます。
儲けが出た場合でも、NISA口座で購入したり特定口座で「源泉徴収あり」に設定すれば、確定申告不要となります。
あるリスクは元本割れと配当金(分配金)がなくなることだけです。
また、不動産投資というと居住用を思い浮かべがちですが、REITならオフィスや店舗、倉庫など様々な不動産に投資することも可能です。
住居だけでは、今後人口が減ることを考えても得策ではありません。
オフィスや倉庫など数種類購入し、リスクを分散することも可能です。
まとめ
- リスクが多すぎるため、現物の不動産投資はあまりおすすめできない
- 不動産投資するならリスクの少ないREITで
不動産を持つことで、「資産家になった」「一国一城の主になれた」ようなイメージがあります。
しかし、現実は不動産を買っただけでは利益を出すことは難しく、投資というより経営者として会社を動かすような努力やスキル、覚悟が必要です。
そのため、安易に折角貯めた資金を現物不動産へ投入することは禁物です。
どうしても不動産へ投資したいのなら、REITを買うことをおすすめします。
ただし、REITの利回りは4~5%くらいで、今では日本企業の株を買っても得られる程度の利回りです。
日本株に使う資金の一部でREITで持つなど、REITだけに資金をつぎ込むことはないようにしましょう。