
通常、株式を保有することでもらえる配当金には、約20%の税金が課されます。
例えば、本来配当金を10万円もらえるところ、税金を引かれると約8万円しかもらえないこととなります。
ところが、ある方法を利用することで、引かれる税率を約20%から最大5%まで引き下げることが可能です。
上記例でも、実質もらえる配当金を約8万円から95,000円まで引き上げることができるのですから、やって損はありません。
初めての人には面倒に感じるかと存じますが、以下の手順で払いすぎた税金を取り戻すことをおすすめします。
目次
日本株の配当金に課税される税率を下げる方法
ざっくりと、以下の手順で税率を下げることができます。
- 確定申告をする
- 総合課税を選択する
- 住民税は総合課税での申告は行わない(手続きが必要)
①確定申告をする
まず、ここが最大のハードルです。
一般サラリーマンは確定申告の経験がない方がほとんどだからです。
サラリーマンには年末調整があるため、毎年11月くらいに会社へ簡単な書類を提出すれば、あとは会社がやってくれます。
また、株などの投資を行っている人も基本的に「源泉徴収あり」を選択し、確定申告しないようにしている方が多いかと存じます。
「確定申告は面倒くさい。だから、なるべくやらなくてもいいようにしたい」
こう考える方がほとんどかと存じます。
しかし、これでは国や地方の意のままに、本来支払わなくてもいい税金が取られてしまいます。
確定申告は、国民が払いすぎた税金を取り戻す権利です。
一度やってみればそれ程難しくないため、これを機会に確定申告にチャレンジしてみましょう。
②総合課税を選択する
配当金への課税は、もらった配当金額の約20%です。
これは、どんなに多くの配当金を得ても税率は変わりません。
そして、通常みなさんが普段もらうお給料と保有株の企業からもらう配当金は分離して課税されております。
ここを切り離さず普段会社からもらうお給料と配当金を合わせて確定申告することで、この税率を最大5%まで引き下げることが可能です。
確定申告では、「総合課税」と「分離課税」を選択することが可能です。
総合課税を選択することで、10%の配当控除をもらうことができます。(所得が1,000万円以上は5%)
この制度を利用すると、課税所得330万円以下の方は、配当金にかかる所得税約15%を0にすることができるのです。
③住民税は総合課税での申告は行わない(手続きが必要)
上記までは所得税のお話です。
住民税については、総合課税してしまうと間違いなく上がってしまいます。
住民税は、一律課税所得の10%となります。
住民税に対しても2.8%(所得が1,000万円以上は1.4%)の配当控除が受けられますが、控除を受けても7.2%課税されてしまいます。
普通に分離課税していれば住民税の支払いは受け取った配当金の5%で済むため、控除を受けて尚余分に支払っております。
そこで、住民税については切り離して、総合課税しないという選択を取ります。
そうすることで、配当金に対する住民税の課税はそのまま5%、所得税の15%は支払わなくても良い(又は取り戻せる)という状況を作れるのです。
尚、住民税の「申告は行わない」という手段も、行動を起こさなければなりません。
放っておくと総合課税されてしまうので、「何もしなくて良い」と勘違いしないよう注意しましょう。
なぜ日本株の配当金には配当控除という仕組みがあるのか
そもそも配当金の原資は、企業の純利益となります。
すでに法人税等が引かれた純利益から受け取る配当金に、さらに課税するのは二重課税と言えます。
そこで、投資意欲をなくさないために設けられた制度が配当控除です。
尚、上記理由からJ-REITは配当控除が適用されません。
J-REITの場合、利益の90%以上を分配金として支払うと法人税が免除されるため、上記のような二重課税とはならないためです。
また、外国株式の配当金も本制度から除外されます。
米国株の場合、米国に支払った税金分を確定申告すれば、ある程度取り戻すことは可能です。
NISA口座は非課税のため、申告自体不要
NISA口座で購入した株式の配当金は非課税です。
そもそも20%取られていないのですから、確定申告する必要はなく、源泉徴収もされません。
購入後5年間は非課税となるため、放っておいて問題ありません。
総合課税有利は所得900万円以下
総合課税を選択して有利になるのは、所得が900万円以下の方です。
ちなみに、これまで何度も「所得」と述べてきましたが、「年収」ではありませんのでご注意を。
そのため、所得が900万円ある方は、ほぼ間違いなく1,000万円以上の年収があります。
本記事を見に来ていただく方の多くは、おそらく所得900万円以下で収まっているでしょう。
多くの方は、「総合課税が有利」と覚えてしまって問題ありません。
高年収になった段階で、果たして自分はどちらが有利かを考えれば事足ります。
まとめ
- 確定申告をし「総合課税」を選択することで、税率を約20%から最大5%まで減らすことができる
- 住民税は総合課税しない(要申請)
- 課税所得900万円以下は、総合課税する方が有利
とにかくまずは、確定申告を面倒くさがらないことからです。
「まず始める」といった行動を起こせない方が非常に多く感じます。
ある程度の収入があれば、重要なことは収入を増やすことより支出を減らすこと。
支払う税金を減らすのも、立派な支出削減となります。
税金は難しく取っつきにくいと感じることでしょうが、知識を得て無駄な支出を減らすよう心がけましょう。
参考動画
第180回 【超お得】配当金の手取り金額を最大15%増やす「配当控除」について解説【株式投資編】
いつもお世話になっているリベ大の両学長が、配当控除について分かりやすく解説してくれております。